フィッシングガイド DEEPLINER  東村 正義 船長

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フィッシングガイド DEEPLINER
東村 正義 船長

Marfixを使い始めたキッカケを教えてください。

フィッシングガイドを始めたのが21年前。当時(2004年頃)のジギングのほとんどが硬めのロッドにスピニングリールを使用し、カンパチやブリ、ヒラマサといった青物や、時期によってはキハダマグロを狙うのが主流でした。ターゲットになる魚たちはほぼ全て回遊魚。回遊魚は1年でくる時期と居なくなる時期(多少のズレはあれど1年中いる魚ではない)があるので、1年中お客様に良い魚を釣り続けて貰うのは難しい。そう悩んでいた時期にスローピッチジャークに出会いました。

スローピッチジャークはベイトタックルで、柔らかい反発のあるロッドを使った釣り。今では多くのアングラーがやっているジギングの釣法だと思いますが、当時は僕も含めてやっている人が少なかった。ただ、船長という立場では釣れる釣法を取り入れていかなければならないと思い、自分自身がスローピッチを覚えて、お客様へ伝えていこうとこの釣りを始めました。

Marfixは元々泳がせ用のリールですが、コンパクトで小型だったのでジギングにも流用可能だったことが使い始めたキッカケ。スローピッチジャークをやると、今までの釣法では反応しなかった大型のハタ類や大型のカンパチのアタリが多くなってきます。その様な大型魚の走りに、急に走ったり止まったりを繰り返すので予期せぬ相手の動きについていける自分でドラグをコントロールできるリールが必要不可欠でした。当時、他社にはスタードラグのリールもあったが、レバードラグリールはMarfixのみ。必然的にMarfixを使い込んでいくことになりました。

Marfixで出会ったメモリアルフィッシュを教えてください。

2009年、Marfixとスロータックルで初めての獲った大型クエ(25kg~30㎏)ですね。
クエって根回りで掛けた瞬間に、根に入る習性があるんです。少し上でかければ根まで距離があるからドラグが出せるけど、この魚を掛けたのは底から約3m。「うわ!やべえ!これクエだ!」って掛けた瞬間にわかりました。そこで必要になってくるのが根から魚をはがすドラグパワーになってきますが、ただ強すぎてもライン強度や不意の突っ込みに対応しきれないことがあります。Marfixのドラグの良い所はマックスドラグをいれても遊びがあるところ(ヌルって動く)。急に船が揺れた時、強度以上のパワーがかかる場面など限界ギリギリのところでドラグを出してくれる。そのおかげで結束が切れずに魚を獲る事が出来たんです。その時に「やっぱりMarfixってすごいな」って思いました。

室戸岬では水深30mラインの浅場でも大型のカンパチが回遊してきます。いつ来るか分からないし、潮のコンディション次第では連発で当たってくる。ボトムの形状もギザギザで切り立った岩だらけというハードなポイントになります。

水深30mで掛けたカンパチって尋常じゃないくらい走るんですよ!パワーがすごい。30mという短い距離だから、ダイレクトに力を感じてしまうんです。そこでMarfixの柔らかくヌルっとするドラグが仕事をしてくれる。ギュンっとカンパチが走ったときに「ヌルヌル」と糸が出てくれる。キツイと思えばレバードラグで緩められるし、相手が止まったらドラグを3ノッチくらい入れて締める事ができる。レバードラグはこういった咄嗟の時に即座に対応をすることができます。この時はMarfix S5を使って、1本目25㎏、2本目20㎏を2流し連続で獲ることができました。

もちろんスタードラグも良い部分はありますが、スタードラグは急な対応ができません。一番弱いドラグから一番強いドラグまでスタードラグを15回くらい回さないといけない。25㎏のカンパチを相手にその作業ができますか?できないでしょ(笑) Marfixだったら、相手が走ると思ったらちょっと糸を出してあげて、根に近い、これ以上出すことはできないと思えばドラグを絞める事もできる。急な判断に非常に対応し易い。かつ柔らかく動いてくれる。20㎏オーバーのカンパチを水深30mのポイントで2本連続で獲れたというのはMarfixだから出来た仕事だと思います。

水深150m程度の室戸沖のとあるポイントでMarfix S5を使ってカンナギを狙っていました。その時もボトムから3mでアタって、カンナギが喰ってきたと確信しました!

「魚を走らせるファイト」と「ブレーキをかけて止めるファイト」の2パターンがありますが、根も荒くカンナギが相手だったので、ブレーキを掛けながらのファイトを選択しました。相手の泳ぐスピードを遅くするためにドラグを1ノッチずつゆっくり入れていき、プレッシャーをかけていく。浮かび上がってきたのは堂々の38㎏。スタードラグだったら多分獲れてなかったと思います。この魚もリールの性能に助けられたと感じた1尾でした。

Marfixの特筆すべき使用感を教えてください。

実釣での使用感はメモリアルフィッシュでも前述しているので、メンテナンス性についてお話していきます。Marfixを結構な台数を持っていて、日ごろからメンテナンスを行っています。ここもスタードラグとの違いがあって、部品点数が多いスタードラグリールに対して、レバードラグリールであるMarfixは約半分ほどの部品点数。一度仕組みを覚えるとメンテナンスがしやすく、しかも自分好みのドラグ設定やグリスを柔らかい物や硬い物に変えてアレンジできチューンアップがしやすいところが魅力ですね。シンプルな設計が故に、常にベストなリールコンディションを維持できるというのは日々魚と対峙しているガイド業にとっては非常にありがたいことです。

コルクドラグワッシャーとスパーギアの性能について教えてください。

コルクドラグワッシャーの「ヌルっと」出ていく感じが大好きです!30分、1時間とやり取りに時間がかかる相手とファイトをしているとドラグに大きな負荷(熱)がかかってきます。メモリアルフィッシュ級の相手にスタードラグのリールを使っていると、ファイト時にもの凄く熱を持ってしまってドラグが不用意に出てしまう、ドラグを効かしたい時に効かせられない状態になってしまいがちです。その点、コルクドラグワッシャーだと長時間のファイト中でもここぞという時にドラグの踏ん張りが効きやすい。メモリアルフィッシュ級が相手の時は時間をかけても、ドラグ性能に変化の少ないコルクドラグワッシャーのレバードラグリールは必須。いつでも細かいドラグ調整が可能になります。

スパーギアはパワーが非常に伝わりやすく、ファイト時のトルクが魅力ですが、それだけではなくジャークする際も効果を発揮します。ギアが弱いと力が逃げてしまう=余計な力が必要になってくるのでジャークする時に疲れてしまいますが、スパーギアだと疲れにくい。ギアにトルクを掛けてルアーをコントロールする事ができるから僕はMarfixが好きですね。

Marfixにマッチするジグの紹介をお願いします。

今回は分かりやすくするために、1ピッチ1ジャークを基本としてDEEPLINERのラインナップにあるジグに例えて解説していきます。話しきれないので全部は持ってきません(笑)。基本的に1ピッチ1ジャークは魚の動きが良い時に使う事が多いですね。

まず、1ピッチ1ジャークで基本的な動きとなるのが「スーパーロケット」というジグです。ハイピッチモデルで横に大きく動くことが特徴です。潮が動いており、魚が動いている(捕食スイッチが入っている)時のコンディションでよく使うモデルです。この「スーパーロケット」と「Marfix」の組み合わせで室戸岬のデカい魚を数多く獲ってきました。

次に紹介したいのは、「SPY-N(スパイナロー)」。1ピッチ1ジャークでしっかり泳がすことができます。横のロングスライドと最後に斜めに落下していくフォールをします。Marfixの最大糸巻量100㎝の中で2種類の誘いが入れられて、どちらかのアクションで誘って次のジャークもしくはフォールで喰わすというパターンで非常に有効です。特に青物系のスプリンターは良く反応してくれます。

SPYシリーズの発展型のジグで紹介したいのが「SPY-C(スパイコブラ)」。スライドの後にノーズフォール(頭下がりのフォール)が入るアクションをします。3段階の動きをするオートマチックなジグでMarfixの巻き上げ量(最大100㎝)を活かして1ピッチ1ジャークの中で3段階のアクションを入れる事ができる。ハンドルの1/2や1/3、1/4回転でジグを動かすというテクニカルな事はいらず、Marfixのハンドル1回転100㎝を活かして、1ピッチ1ジャークで誘うにはピッタリなジグです。ジグが勝手にアクションしてくれるので、難しい技術は必要なくMarfixのトルクと巻き上げ量を信じてシャクリましょう(笑)!

別シリーズでは「スロースキップCX」を紹介します。このジグアクションはスライドがかなり切れ込んでいく動きをし、フォールはスパイラルの様な動きをするジグ。1回転しっかり巻きたいという方の意思にしっかりMarfixが仕事をしてくれて、ジグが追従してくれる。

同シリーズの「スロースキップFB」は横のロングスライドをします。「スーパーロケット」の平べったい版と思ってください。ロングスライドを入れてフォールはジグザグに斜めに落ちていくという特徴があります。このジグもフォール幅を取るために、1ピッチ1ジャークでMarfixの巻き取り量を活かしてください。

Marfixはトルクがあるリールだから「スロースキップシリーズ」の様な扁平型で引き抵抗の強いジグもアングラーの負担を軽減してくれます。様々なジグをアクションさせるのに非常に使いやすいリールだと思います。Marfixの特徴でもある『トルク』と『最大巻き取り量100㎝』がジグを操作するうえで存分に発揮されます!

今後のMarfixに求める事はなんですか?

今の性能を維持したまま、軽量化が図れれば最高ですね!軽さは感度にもファイトにも直結しますからね。また、カスタムパーツも更に充実させて欲しいですね。アングラーそれぞれがもっと楽しめるように!自分だけのMarfixでいい魚と出会えるように!

フィッシングガイド DEEPLINER 東村 正義 船長

遊漁船「DEEPLINER」の船長。フィッシングガイドを始める21年前に“スローピッチジャーク”を修得し、その膨大な釣行数に耐えうる相棒としてMarfixを選び、長年使いこんでいるアングラーの1人。

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